労災と認められた場合、どのような補償をうけられるのかについて2回に分けて説明します。

まずは、申請者が業務災害にあった本人の場合です。

療養補償給付

療養補償給付を受けることで、病気の治療に必要な補償が受けられます。療養補償給付は、業務上の疾病等によって労働者に療養が必要な場合に認められるものなので、病気が治癒(症状固定)するまで給付を受けることができます(それ以後は、後遺障害が残った場合に障害補償給付を受けることになります)。

療養補償給付には、現物給付としての「療養の給付」と現金給付としての「療養の費用の支給」とがあります。

療養の給付

療養の給付を受けると被災労働者が、労災指定病院で、無料で治療を受けることができます。「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)を療養の給付を受けようとする労災指定病院に提出します。

療養の費用の給付

≪概要≫
療養の費用の給付とは、既に支払った治療費を請求して支払を受けることです。厳密に言うと、労災指定病院以外で治療を受けた後に治療に要した費用を労働基準監督署長に対して請求し支払を受けることです。

≪請求手続き≫
「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式第6号)を労働基準監督署へ提出します。

≪時効≫
費用の支出が確定した日を起算点とし2年です。

障害補償給付

業務上の災害を受け、これ以上治療による症状の改善が見られなくなり(症状固定)、後遺障害が残った場合に認められる給付です。療養補償給付は治療のために給付されるものですので、療養補償給付と障害補償給付の両方を受給することはできません。障害等級第1級から第7級までの場合には障害補償年金が支給され、障害等級第8級から14級までの場合には障害補償一時金が支払われます。

障害補償年金

障害補償年金の支給金額は、障害等級によって異なり、障害補償年金が給付基礎日額(労基法上の平均賃金)の313日分から131日分の年金を受け取れます。

障害補償一時金

≪給付の内容≫
障害補償一時金の支給金額は、障害の程度に応じ給付基礎日額の503日分から56日分の一時金が受け取れます。(なお、給付基礎日額とは、原則として、労働基準法上の平均賃金に相当する額です。疾病発生の確定した日の直前の賃金締切日以前3か月間に支払われた賃金の総額をその期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です。)

≪請求手続き≫
年金の申請、一時金の申請どちらも「障害補償給付支給請求書」(様式第10号)に請求書裏面の診断書に医師に記入してもらい労働基準監督署へ提出します。

≪時効≫
どちらも傷病が治った日の翌日から起算して5年です。

≪特別支給金≫
障害補償給付の受給権者は、特別支給金である障害特別支給金(障害の程度により342万円から159万円までの一時金)と、障害特別年金(障害の程度により、算定基礎日額の313日分から131日分の年金)か障害特別一時金(障害の程度に応じ、算定基礎日額の503日分から56日分の一時金)も支給されます。

なお、算定基礎日額とは、業務上疾病発生前の1年間に受けたボーナスなど給付基礎日額の算定の基礎から除外された賃金を365で割った金額です。ただし、給付基礎年額の20%または150万円のいずれか低い額が上限となります。

次の記事では、ⅲ 休業保証給付、ⅳ 傷病補償年金について説明します。

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