直接アスベストを扱う仕事をしておらず間接的にアスベストにさらされていた場合、直接アスベストを扱っていなかったことを理由に会社が事業主証明を拒否することがあります。
では、会社が事業主証明を拒否した場合は労災を受けることが出来ないのでしょうか?
会社が事業主証明をしない場合でも労災申請をすることはできます。ただし、どこでアスベストにさらされたのかをはっきりさせないまま労災申請をすると、労基署の調査だけでは労災と認められない事もあります。
工場の外の事務所で主に事務作業をなさっていた方について会社が事業主証明を拒否した実際の事件ですと、当弁護団の弁護士が調査を重ねた結果、亡くなった方が課長として部品などの資材や作業工程の確認等のためにアスベストが飛散する保温工事が頻繁に行われていた工場に日常的に出入りしていた事実が明らかになり、証拠を集めて労災申請したところ、間接的にアスベストにさらされた事実が認められ、労災認定を受けることが出来ました。
特に会社が事業主証明を拒否するような場合には、労災申請をする側で実際にどのような状況でアスベストばく露があったのかを調査し、業務上アスベストにさらされたことの証拠をそろえて労災申請すべきだと考えます。
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